税理士事務所のLINEを
エルメッセージで作る
― 全6STEP 完全設計図
友だち登録から顧客台帳の自動化まで。専門知識ゼロでも、順番どおりに進めれば完成するLINE自動化システムの作り方を、画面手順つきで全部まとめました。
この記事は、税理士事務所のLINE公式アカウントを、配信ツール「エルメッセージ(L Message)」を使ってゼロから構築するための完全ガイドです。STEP1〜6を通して読めば、新規相談の受付・既存顧客のフォロー・確定申告や法人決算の自動対応まで、すべてを「タグ」を軸につなげた仕組みが完成します。気になるSTEPから読み進めてもOKです。
税理士事務所のLINE公式アカウントを、配信ツール「エルメッセージ(L Message)」を使って構築していきます。まずSTEP1では、これから作るシステムの全体像を整理します。細かい設定に入る前に「何のために」「どんな流れで」動くのかを掴んでおくことで、後の作業がぐっとスムーズになります。
このシステムで実現したいこと
税理士事務所 LINEシステムの目的
エルメッセージを中核に、新規相談受付・既存顧客フォロー・確定申告シーズンの自動対応を一本化します。顧客データはGoogleスプレッドシートで一元管理します。
税理士事務所の業務は、繁忙期と閑散期の差が非常に大きいのが特徴です。とくに確定申告シーズンは、新規の問い合わせ対応・既存顧客への資料依頼・面談調整が一気に押し寄せます。このシステムは、その「人がやらなくてもいい作業」を自動化し、スタッフが本来の専門業務に集中できる状態を作ることを目的にしています。
具体的には、次の3つを軸にしています。
- 新規顧客獲得:問い合わせ・相談の受付を自動化し、見込み客を取りこぼさない
- 既存顧客フォロー:顧問先への案内・連絡をタグ別に効率配信
- 確定申告の自動対応:よくある質問への自動返信と、資料提出リマインドの自動化
全体の流れ(フロー図)
友だち追加から顧客管理までの一連の流れは、次のようになります。
タグ別に自動ルーティング
ステップ配信
一斉配信・個別対応
ポイントは、友だち追加された時点で「見込み客なのか」「既存の顧問先なのか」を自動で振り分けるところです。振り分けの基準になるのが「タグ」で、これによって送るメッセージの内容を自動で変えていきます。見込み客には事務所の魅力を伝えるステップ配信を、既存顧客には季節ごとの案内や個別対応を行います。
4つの構成要素
このシステムは、大きく4つのツールを組み合わせて作ります。それぞれの役割を、まずはイラストで掴んでみましょう。
① LINE公式アカウント
お客様との接点(窓口)。友だち追加・トーク・リッチメニューの表示を担います。
② エルメッセージ
システムの中核。タグ管理・ステップ配信・自動返信など高度な自動化を担います。
③ GAS
エルメとスプレッドシートをつなぐ橋渡し役。イベントを受けてシートへ書き込みます。
④ Googleスプレッドシート
顧客データの保管場所(台帳)。3シート構成で状況をひと目で把握できます。
この4つが連携することで、「LINEで友だち追加された情報が、自動でスプレッドシートの台帳に記録される」という流れが完成します。次のセクションで、その連携のカギになる「タグ」について詳しく見ていきましょう。
カギを握る「タグ管理」の仕組み
タグ=顧客に貼る「ラベル」
友だち一人ひとりに「個人」「確定申告」「顧問契約中」などのラベルを付けて分類します。このタグによって、送るメッセージや表示するメニューを自動で出し分けます。
このシステムの自動化を支えているのが「タグ」です。タグとは、友だち一人ひとりに貼り付ける付箋(ラベル)のようなもの。お客様がボタンをタップしたり、特定のメッセージを送ったりすると、エルメッセージが自動でタグを付与します。
タグが付くと、何が変わるのか
ボタンをタップ
自動付与
自動で変わる
たとえば「確定申告」のタグが付いた友だちには確定申告の案内シナリオが、「顧問契約中」のタグが付いた友だちには顧問先専用のメニューが、それぞれ自動で適用されます。スタッフが一人ずつ手作業で振り分ける必要はありません。
このシステムで使うタグ一覧
税理士事務所では、次の4カテゴリ・10種類のタグを使って顧客を分類します(法人決算を使う場合は決算月タグも追加)。
| カテゴリ | タグ | 付与のタイミング |
|---|---|---|
| 顧客種別 | 個人法人個人事業主 | 友だち追加後のアンケート |
| 相談種別 | 確定申告記帳代行相続税法人税 | 相談内容アンケート・キーワード送信 |
| 契約状況 | 見込み顧問契約中 | 見込み=自動/顧問=スタッフが手動付与 |
| 資料状況 | 資料提出済み | ボタンタップで自動付与 |
STEP2では、税理士事務所のLINE「友だち登録フロー」を、エルメッセージの操作画面に沿って実際に設定できるように作った詳細設計図です。「どのメニューを開くか」「何という名前を付けるか」まで具体的に書いているので、専門知識がなくても順番どおりに進めれば完成します。
完成イメージ(全体フロー)
まず、これから作る仕組みの全体像です。お客様が友だち追加してからタグが付くまでの流れを頭に入れておきましょう。🏷️ = タグが付くポイント
事務所紹介 → サービス案内 → 属性を質問
個人 / 法人 / 個人事業主 を選択
確定申告 / 記帳代行 / 相続税 など
事前準備(はじめる前に)
この2つが終わっていればOK
① LINE公式アカウントの開設 ② エルメッセージのアカウント作成とLINE連携。まだの場合は、先にこちらを済ませてください。
- LINE公式アカウントを開設し、ログインできる状態になっている
- エルメッセージ(L Message)に登録し、上記のLINE公式アカウントと連携済み
- 事務所の基本情報(名称・対応業務・連絡先)が手元にある
設計図① タグを作る(最重要)
まずタグを先に作っておく
タグは顧客を分類する「ラベル」です。アンケートより先に作っておくと、後の設定がスムーズです。ここがこの設計図でいちばん大事な部分です。
タグはあとから何度でも追加・修正できますが、最初に全体を設計しておくと混乱しません。税理士事務所で使うタグは、次の4カテゴリ・10種類です。
作成するタグ一覧(この表のとおりに作る)
| No | タグ名(この名前で作る) | カテゴリ | 付け方 |
|---|---|---|---|
| 1 | 個人 | 顧客種別 | 自動(属性アンケート) |
| 2 | 法人 | 顧客種別 | 自動(属性アンケート) |
| 3 | 個人事業主 | 顧客種別 | 自動(属性アンケート) |
| 4 | 確定申告 | 相談種別 | 自動(相談アンケート/キーワード) |
| 5 | 記帳代行 | 相談種別 | 自動(相談アンケート/キーワード) |
| 6 | 相続税 | 相談種別 | 自動(相談アンケート/キーワード) |
| 7 | 法人税 | 相談種別 | 自動(相談アンケート/キーワード) |
| 8 | 見込み | 契約状況 | 自動(属性アンケート回答時) |
| 9 | 顧問契約中 | 契約状況 | 手動(契約成立時にスタッフが付与) |
| 10 | 資料提出済み | 資料状況 | 自動(ボタンタップ時) |
設計図② あいさつメッセージを作る(3通)
友だち追加された瞬間に自動で送られるメッセージです。3通に分けて、最後の3通目でアンケートを表示します。下のコピペ用文面をそのまま使えます(事務所名などは適宜変更してください)。
📱 完成イメージ(3通目+ボタン)
税理士事務所
設計図③ 属性アンケートを作る
ボタンを押すとタグが付く仕組み
エルメの「回答フォーム」または「選択肢付きメッセージ」を使い、ボタンごとに「付けるタグ」を紐づけます。これが自動タグ付けの正体です。
選択肢とタグの対応(この表を見ながら設定)
| 選択肢ボタン | 付与するタグ |
|---|---|
| 👤 個人のお客様 | 個人 + 見込み |
| 🏢 法人 | 法人 + 見込み |
| 🧑💼 個人事業主 | 個人事業主 + 見込み |
設計図④ 相談内容アンケートを作る
| 選択肢ボタン | 付与するタグ | 追加アクション |
|---|---|---|
| 📝 確定申告 | 確定申告 | — |
| 📚 記帳代行 | 記帳代行 | — |
| 🏛️ 相続税 | 相続税 | — |
| 💬 その他 | (タグなし) | スタッフへ通知 |
📱 完成イメージ(相談内容アンケート)
税理士事務所
どのようなご相談でしょうか?👇
設計図⑤ 全体をつなぎ込む
最後に、ここまで作ったパーツを1本の流れにつなげます。つながりを図で確認しましょう。
(設計図②)
(設計図③)→ 種別タグ+見込み
(設計図④)→ 相談種別タグ
完成チェックリスト
すべて設定できたら、自分のLINEで友だち追加し直して、最後まで動くか確認しましょう。
- タグ10種類が「タグ管理」に並んでいる
- 友だち追加であいさつメッセージが3通届く
- 3通目のボタンから属性アンケートが開く
- 「個人」を選ぶと 個人 と 見込み タグが付く(友だち詳細画面で確認)
- 続けて相談内容アンケートが表示される
- 「確定申告」を選ぶと 確定申告 タグが付く
- 「その他」を選ぶとスタッフに通知が届く
- 回答後にステップ配信が開始される
前回(STEP2)で、友だち登録と同時にタグが付く仕組みが完成しました。今回はそのタグを使って、お客様に自動でフォローメッセージを届ける「ステップ配信」を設計します。一度作れば、あとは登録された人に自動で順番にメッセージが届くので、営業の手間を大きく減らせます。
ステップ配信とは?(一斉配信との違い)
登録日を基準に「順番に」自動で届く
ステップ配信は、友だち登録した日を「0日目」として、その人ごとに1日後・3日後…と自動で配信される仕組みです。全員に同時に送る「一斉配信」とは違い、いつ登録しても同じ順番で届きます。
| — | ステップ配信 | 一斉配信 |
|---|---|---|
| 配信の基準 | 各自の登録日から〇日後 | 指定した日時に全員へ |
| 向いている用途 | 新規フォロー・育成 | 季節の案内・お知らせ |
| 手間 | 一度作れば自動 | 毎回作って送る |
今回はこのうち「ステップ配信」を作ります(確定申告シーズンや年末調整などの「季節の一斉案内」は、タグで対象を絞った予約配信として別途使います)。
設計図① 見込み客向けシナリオ(5通)
対象は 見込み タグが付いた友だちです。事務所の魅力を少しずつ伝え、最終的に「無料相談の予約」へつなげます。配信スケジュールは次のとおりです。
📱 4通目(無料相談の予約案内)イメージ
税理士事務所
「うちの場合はどうなる?」が一番早く分かるのは、やはり一度ご相談いただくことです。
\ 初回相談は無料です /
下のボタンからご予約ください👇
設計図② 確定申告顧客向けシナリオ(4通)
対象は 確定申告 タグが付いた友だちです。申告期限に向けて、必要書類の案内や提出リマインドを自動で届けます。こちらは登録日基準ではなく、毎年の申告シーズン(1月〜3月)に合わせた配信として設計します。
設計図③ 法人決算向けシナリオ(5通)
対象は 法人税 タグ(または 法人 タグ)が付いた友だちです。法人は会社ごとに決算月がバラバラなので、「1月配信」のような日付固定ではうまくいきません。そこで「決算月の〇ヶ月前」という相対基準で配信を組むのがポイントです。
決算月から逆算してリマインド
決算3ヶ月前から段階的に「決算準備 → 節税対策 → 資料依頼 → 申告」と案内します。会社ごとの決算月をシートに登録し、その月を基準に配信します。
配信スケジュール(決算月を基準に逆算)
📱 3通目(必要書類のご依頼)イメージ
税理士事務所
決算作業のため、下記の資料をご準備ください👇
・試算表
・売上/仕入の請求書
・預金通帳のコピー
・固定資産の領収書
ご準備ができたら下のボタンを押してください。
設計図④ ステップ配信とタグの関係を整理
どのタグが、どのステップ配信を動かすのか。全体を1枚の図で確認しておきましょう。
0日目〜14日目
1月〜3月の日付指定
→ 4通目の対象から除外
決算月を基準に逆算配信
→ 4通目の対象から除外
ステップ配信で使うタグ早見表
| タグ | 役割 | 付くタイミング |
|---|---|---|
| 見込み | 見込み客シナリオの開始トリガー | STEP2の属性アンケート回答時 |
| 確定申告 | 確定申告シナリオの開始トリガー | STEP2の相談アンケート回答時 |
| 法人税 | 法人決算シナリオの開始トリガー | STEP2の相談アンケート回答時 |
| 決算1月〜12月 | 決算月別に配信を絞る目印 | 決算月の登録時(手動/GAS自動) |
| 資料提出済み | リマインド除外の目印 | 3通目のボタンタップ時(自動) |
| 顧問契約中 | 見込みシナリオを止める目印 | 契約成立時にスタッフが手動付与 |
完成チェックリスト
- 見込み客シナリオ(5通)を作成し、開始条件を 見込み タグにした
- 各通の経過日数(0・1・3・7・14日目)を設定した
- 確定申告シナリオ(4通)を作成し、開始条件を 確定申告 タグにした
- 確定申告3通目のボタンで 資料提出済み タグが付くようにした
- 法人決算シナリオ(5通)を作成し、決算月タグで対象を絞った
- 法人決算は「決算月の〇ヶ月前」を基準に各通の配信月を設定した
- 4通目の対象から「資料提出済みの人」を除外した
- 顧問契約中 タグが付いたら見込みシナリオが止まる設定にした
- テストアカウントで各シナリオの動作を確認した
- すべてのステップ配信を有効化(ON)にした
前回(STEP3)でステップ配信の自動フォローが完成しました。今回は、お客様がトーク画面を開いたときにいつでも目に入る「リッチメニュー」を設計します。よく使う機能をボタン一つで呼び出せるようにすることで、お客様の行動を後押しし、問い合わせや予約につなげます。
リッチメニューとは?
トーク画面の下に固定表示されるメニュー
LINEのトーク画面下部に、最大6つ(または4つ)のボタンを並べられる機能です。一度設定すれば常に表示され、お客様はタップするだけで予約・問い合わせ・資料請求などができます。
設計図① 見込み客向けメニュー(6ボタン)
対象は 見込み タグの友だち。「まだ契約していない人」が次の行動を起こしやすいボタンを並べます。
予約
目安
一覧
チェック
質問
相談
| ボタン | タップ時の動作 |
|---|---|
| 📞 無料相談予約 | 予約フォーム or 予約カレンダーのURLを開く |
| 💰 料金の目安 | 料金案内メッセージを送信 |
| 📋 サービス一覧 | サービス紹介メッセージ(カード形式)を送信 |
| ✅ 確定申告チェック | 必要書類チェックリストを送信 |
| ❓ よくある質問 | FAQメッセージ or FAQページURLを開く |
| 💬 スタッフに相談 | 「担当者におつなぎします」+スタッフへ通知 |
設計図② 顧問契約客向けメニュー(6ボタン)
対象は 顧問契約中 タグの友だち。「すでに契約しているお客様」が日常的に使う機能を並べます。
提出連絡
予約
確認
受取
Q&A
連絡
| ボタン | タップ時の動作 |
|---|---|
| 📂 資料提出連絡 | 「提出しました」報告+ 資料提出済み タグ付与 |
| 📅 面談予約 | 予約カレンダーのURLを開く |
| 🧾 請求書確認 | 請求に関する案内メッセージを送信 |
| 📊 試算表受取 | 試算表の受け渡し案内を送信 |
| ❓ 税務Q&A | よくある税務質問の回答を送信 |
| 💬 担当者に連絡 | 担当者へ通知+個別対応へ |
設計図③ メニューを作る手順
まず「見込み客向け」から作る
画像(メニューの背景デザイン)を用意し、各ボタンの位置にURLやメッセージ送信などのアクションを紐づけていきます。
設計図④ タグでメニューを自動切替する
このシステムの肝です。契約状況に応じて、表示するメニューを自動で切り替えます。お客様は何も操作しなくても、自分に合ったメニューが表示されます。
メニューとタグの対応早見表
| 表示されるメニュー | 対象タグ | 優先順位 |
|---|---|---|
| 顧問契約客メニュー | 顧問契約中 | 高(こちらを優先) |
| 見込み客メニュー | 上記以外すべて(デフォルト) | 低 |
完成チェックリスト
- 見込み客メニュー(6ボタン)を作成した
- 各ボタンにアクション(URL・メッセージ・タグ付け)を設定した
- 顧問契約客メニュー(6ボタン)を作成した
- 「資料提出連絡」ボタンで 資料提出済み タグが付くようにした
- 見込み客メニューをデフォルト表示に設定した
- 顧問契約中 タグで顧問用メニューに切り替わる設定にした
- テストアカウントでメニューの切替を確認した
- 各ボタンをタップして正しく動作するか確認した
前回(STEP4)で、トーク画面のリッチメニューが完成しました。今回は、お客様が特定の言葉(キーワード)を送ったときに自動で返信する仕組みを作ります。営業時間外や休日でも、お客様を待たせずに答えられるようになり、取りこぼしを防げます。さらに返信と同時にタグを付けることで、STEP3のステップ配信ともつながります。
キーワード自動返信とは?
決まった言葉に、自動で答えるロボット
お客様が「料金」「確定申告」などのキーワードを送ると、あらかじめ用意した返信が自動で届きます。人が対応しなくても、24時間いつでも答えられます。
キーワード自動返信は、次の3ステップで動きます。「答えるだけ」で終わらせず、タグ付けまで行うのがこの設計の肝です。
キーワード送信
返信が届く
配信につながる
設計図① 登録するキーワード一覧
まずは、税理士事務所によく届く質問をもとに、6つのキーワードを登録します。下の表が設計の全体像です。この表を見ながら設定していきます。
| 反応するキーワード | 自動返信の内容 | 付けるタグ |
|---|---|---|
確定申告 | 確定申告サービスの概要・料金・必要書類の案内 | 確定申告 |
料金 いくら | 各サービスの料金目安一覧+無料相談リンク | — |
記帳 帳簿 | 記帳代行サービスの説明+見積もり依頼フォーム | 記帳代行 |
相続 遺産 | 相続税サービスの紹介+初回無料相談の案内 | 相続税 |
法人 決算 | 法人決算・申告サービスの案内 | 法人税 |
相談 質問 | 「スタッフにおつなぎします」+有人対応へ | —(スタッフ通知) |
設計図② キーワード自動返信の作り方
📱 自動返信のイメージ(「確定申告」と送った場合)
税理士事務所(自動返信)
料金の目安:2万円〜
必要なもの:源泉徴収票・マイナンバーなど
まずは無料相談でお話を聞かせてください👇
設計図③ タグ付けで配信につなげる
キーワード自動返信のいちばんの強みは、「答える」と同時に「タグを付ける」ことです。たとえば「確定申告」と送ってきた人に 確定申告 タグが付けば、STEP3で作った確定申告シナリオが自動でスタートします。
キーワードとタグの対応早見表
| キーワード | 付くタグ | つながるステップ配信 |
|---|---|---|
確定申告 | 確定申告 | 確定申告シナリオ(4通) |
記帳 | 記帳代行 | (記帳代行の案内へ) |
相続 | 相続税 | (相続相談の案内へ) |
法人 決算 | 法人税 | 法人決算シナリオ(5通) |
設計図④ スタッフへの引き継ぎ(有人対応)
自動返信だけでは答えきれない複雑な相談もあります。「相談」「質問」というキーワードには、スタッフへ引き継ぐ設定をしておきましょう。
完成チェックリスト
- 6つのキーワード自動返信をすべて登録した
- 「料金/いくら」のように複数の言い回しを登録した
- 各返信に「部分一致」を設定した
- 「確定申告」で 確定申告 タグが付くようにした
- 「法人/決算」で 法人税 タグが付くようにした
- 「相談/質問」でスタッフ通知が届くようにした
- 有人対応の返信に受付時間を明記した
- テストアカウントで各キーワードを送って動作を確認した
- タグが付いてステップ配信が始まることを確認した
前回(STEP5)までで、LINE側の自動化はほぼ完成しました。最終回となる今回は、ここまで集まったお客様の情報をGoogleスプレッドシート(無料の表計算ソフト)に記録する仕組みを作ります。
2つのやり方から選べます
顧客データの記録には、2つのやり方があります。まずは自分に合う方を選びましょう。あとから切り替えてもOKです。
- スプレッドシートを作るだけ
- 新しいお客様は、スタッフが手で入力
- プログラムは一切使わない
- まずはこれで運用を始められる
- 友だち追加が自動で記録される
- タグの内容も自動で列に入る
- 手入力の手間がほぼゼロ
- コードはこの記事のコピペでOK
【自動ルート】上記に加えて、GASプログラム(設計図②〜④)+タグの自動反映(設計図⑤)。
GAS連携の全体像
エルメ → GAS → スプレッドシート
エルメで起きたこと(友だち追加・タグ付けなど)を、GASという「橋渡し役」が受け取り、スプレッドシートへ自動で書き込みます。一度作れば、あとは全自動です。
設計図① スプレッドシートを準備する(両ルート共通・かんたん)
まず、データを受け取る器(スプレッドシート)を作ります。ここは「かんたんルート」「自動ルート」どちらでも必要な、最初のステップです。3つのシート(タブ)を用意します。
① 顧客台帳シート
| 登録日 | LINE名 | 顧客種別 | 相談種別 | 契約状況 | 決算月 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026/1/10 | 田中 太郎 | 個人 | 確定申告 | 見込み | — | |
| 2025/8/1 | 株式会社ABC | 法人 | 記帳代行 | 顧問契約中 | 3月 | 毎月5日請求 |
② 申告管理シート
| LINE名 | 資料提出 | 申告完了 | 申告年度 | 担当者 |
|---|---|---|---|---|
| 田中 太郎 | ✅ 提出済 | ⬜ 未完了 | 2025年分 | 鈴木 |
③ 相談ログシート
| 受付日時 | LINE名 | 相談内容 | 対応状況 | 担当者 |
|---|---|---|---|---|
| 2026/1/15 14:32 | 山本 花子 | 相続税の相談 | 🕐 対応中 | 佐藤 |
顧客台帳 申告管理 相談ログ の3タブを作ります。タブ名は正確に。
設計図② GASプログラムを貼り付ける
コードはコピペするだけ
下のコードをそのままコピーして貼り付ければ動きます。中身を理解する必要はありません。シート名と合っているかだけ確認しましょう。
// エルメから情報を受け取って、シートに書き込むプログラム function doPost(e) { try { // 受け取ったデータを読み取る(JSON形式でもフォーム形式でもOK) var data; try { data = JSON.parse(e.postData.contents); } catch (x) { data = e.parameter; } // スプレッドシートを開く var ss = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet(); // イベントの種類で書き込み先を分ける if (data.type === "friend_add") { // 友だち追加 → 顧客台帳へ var sheet = ss.getSheetByName("顧客台帳"); sheet.appendRow([ new Date(), // 登録日 data.name || "", // LINE名 data.kind || "", // 顧客種別 data.topic || "", // 相談種別 "見込み", // 契約状況(初期値) "", // 決算月 "" // 備考 ]); } else if (data.type === "consult") { // 相談受付 → 相談ログへ var sheet = ss.getSheetByName("相談ログ"); sheet.appendRow([ new Date(), data.name || "", data.message || "", "未対応", "" ]); } return ContentService.createTextOutput("OK"); } catch (err) { return ContentService.createTextOutput("ERROR"); } }
"顧客台帳" "相談ログ" は、設計図①で作ったシート名と1文字でも違うと動きません。タブ名とコードの文字が完全に一致しているか、必ず確認してください。
設計図③ GASを公開してURLを取得
作ったプログラムを、エルメから呼び出せるように「公開」します。ここで発行されるURLを、次の設計図④で使います。
https://script.google.com/macros/.../exec をコピーして控えておきます。
設計図④ エルメのWebhookを設定
最後に、エルメ側で「出来事が起きたら、さっきのURLに知らせる」設定をします。これで連携が完成します。
エルメから送るデータの対応表
| 送る項目名 | 中身 | エルメで指定する値 |
|---|---|---|
type | イベントの種類 | friend_add(友だち追加)/ consult(相談) |
name | LINEの表示名 | 友だちの名前(差し込み) |
kind | 顧客種別 | タグから(個人/法人/個人事業主) |
topic | 相談種別 | タグから(確定申告/記帳代行など) |
message | 相談内容 | 送られたメッセージ本文 |
設計図⑤ タグとシートの関係を整理
このSTEPの肝は、「LINEで付けたタグを、そのままシートの列に変換する」ことです。STEP2〜5で設計したタグが、どのようにシートへ流れ込むかを整理します。
タグ → シート列 対応早見表
| LINEのタグ | 記録されるシート列 | 記録方法 |
|---|---|---|
| 個人法人個人事業主 | 顧客台帳「顧客種別」 | 自動(Webhook) |
| 確定申告記帳代行相続税法人税 | 顧客台帳「相談種別」 | 自動(Webhook) |
| 見込み顧問契約中 | 顧客台帳「契約状況」 | 見込み=自動/顧問=手動更新 |
| 資料提出済み | 申告管理「資料提出」 | タグを見てスタッフが記入 |
設計図⑥ タグの運用ルールを決める(ここが続けるコツ)
システムを作って終わり、ではありません。タグは「ルールを決めて、みんなで同じように使う」ことで初めて役立ちます。ここを決めておかないと、半年後に「このタグ何だっけ?」とバラバラになってしまいます。難しい話ではないので、次の4つだけ決めておきましょう。
自動で付くタグ(個人・確定申告など)はそのまま。手動のタグ(顧問契約中)は「契約書にハンコをもらった日に、担当者が付ける」と決めておきます。
「資料提出済み」は申告が終わったら外す、「見込み」は契約したら外す。付けるルールだけでなく、外すルールも決めるのがコツです。
「念のため」で増やすと管理できなくなります。今回の10個(+決算月タグ)を基本に、本当に配信で使うタグだけに絞ります。
「確定申告」と「確申」が混在しないよう、表記を1つに決めます。スタッフ全員が同じ名前で呼べるようにします。
1年間のタグ・棚卸しカレンダー
年に数回、タグの状態を見直す(棚卸しする)日を決めておくと、ずっとキレイに保てます。
設計図⑦ スプレッドシートの日々の使い方
自動で記録されたスプレッドシートを、スタッフがどう使うかも決めておきましょう。「自動で入る列」と「人が手で書く列」を分けて考えるのがポイントです。
3つのシートの役割と担当
| シート | 役割 | 主に見る人 | 更新のしかた |
|---|---|---|---|
| 📋 顧客台帳 | お客様の基本情報の一覧 | 全スタッフ | 自動+備考は手入力 |
| 📝 申告管理 | 申告の進捗チェック | 申告担当者 | スタッフが手入力 |
| 💬 相談ログ | 問い合わせの対応漏れ防止 | 受付担当者 | 受付は自動/対応状況は手入力 |
どの列が自動で、どの列を手で書くか
| 登録日 🤖自動 |
LINE名 🤖自動 |
顧客種別 🤖自動 |
相談種別 🤖自動 |
契約状況 ✍️手入力 |
決算月 ✍️手入力 |
備考 ✍️手入力 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026/1/10 | 田中 太郎 | 個人 | 確定申告 | 見込み | — | |
| 2025/8/1 | 株式会社ABC | 法人 | 記帳代行 | 顧問契約中 | 3月 | 毎月5日請求 |
毎日・毎週やること(かんたん運用ルール)
ファイル › コピーを作成 で複製しておくと安心です。もし操作ミスで消してしまっても、コピーから戻せます。
⚠️ つまずきやすいポイント Q&A(保存版)
実際に作っていて「あれ、動かない?」となりやすいポイントを、Q&A形式でまとめました。困ったときはここを見返してください。
"顧客台帳" と、実際のタブ名が1文字でも違うと動きません。スペースや全角・半角の違いにも注意。コピペしたタブ名とコードを見比べてください。詳細 →(プロジェクト名)(安全ではないページ)に移動 →許可 と進めばOK。Googleが念のため出している警告で、ウイルスなどではありません。/exec で終わる正しいURLか、③エルメ側でWebhookの送信トリガーがONか、の3つを順に確認します。コードを直したら「新しいデプロイ」で再公開が必要な点も忘れずに。完成チェックリスト
▼ かんたんルートの方は最初の2つだけでOK。3つ目以降は自動ルートの方の確認項目です。
- スプレッドシートに
顧客台帳申告管理相談ログの3タブを作った - 各シートの1行目に見出しを入れた
- 【自動ルート】GASにコードを貼り付けて保存した
- コード内のシート名とタブ名が完全一致している
- ウェブアプリとしてデプロイし、URLを取得した
- アクセス権を「全員」にして承認した
- エルメのWebhookにURLを設定した
- 送るデータ(type・name・kind・topic)を設定した
- テストで友だち追加し、顧客台帳に行が増えた
- タグの内容(種別・相談種別)が正しく列に入った
🎉 シリーズ完成!
お疲れさまでした。STEP1〜6で、税理士事務所のLINE自動化システムが完成しました。すべてが「タグ」を軸に、一本の流れでつながっています。
スタッフの手入力をほぼゼロにしながら、新規獲得から既存顧客フォローまでを自動化できます。まずはテストアカウントで一通り動かし、実際の運用の中で文面やタグを少しずつ育てていきましょう。
※ 本記事は架空の事務所を想定したサンプルの構築例です。掲載コードはサンプルであり、ご利用は自己責任でお願いします。





