毎朝の販売情報を自動配信する仕組みの作り方
農家がやるのは写真を撮って送るだけ。毎朝8時、その日の野菜情報を友だちへ自動で届けます。
Before:情報が届かない販売所
今日何が並んでいるか、お客さんには分からない。行っても売り切れで無駄足になる。
売れ残った野菜を見て、毎日ため息をつく。
SNSに投稿しても、見てほしい常連には届かない。
After:仕組みを入れた後の朝
毎朝8時、その日の野菜と価格が友だち全員のLINEに自動で届く。
「今日はトマトが安い」を見て来店。売り切れも速報で伝わり、無駄足が消える。
農家の作業は「写真を撮って送る」だけ。5分で終わる。
この記事で組む配信の全体像
- 毎朝、農家が写真と価格を入力し、エルメの予約配信で8時に自動送信する
- 売り切れたら、その場から即時配信で速報を届ける
- 友だちが増えたら、タグで絞り込んで無料枠(月200通)を節約する
- 発展として、スプレッドシート+push専用GASで配信を半自動化できる
1. 毎朝の配信テンプレートを作る
毎朝ゼロから文章を書くのは続きません。最初に「型」を作り、以降は品目と価格だけ差し替える運用にします。
コピペ用テンプレ(毎朝の販売情報)
2. 予約配信で毎朝8時に自動送信する
エルメの予約配信を使えば、時刻を指定して自動送信できます。前夜に仕込んでおけば、朝は寝ていても配信されます。
設定の手順
操作場所:エルメ管理画面 > メッセージ配信 > 新規配信
- 新規配信を作成し、野菜の写真をアップロードする
- 章1のテンプレに品目・価格・残数を入れる
- ボタンを追加して売り場カメラのURLを貼る
- 配信方法で「予約配信」を選び、時刻を毎朝8:00に設定して確定する(配信先は「全員」か「タグで絞り込み」を選べる)
3. 売り切れ速報をその場から送る
売り切れは「早く伝えるほど信頼になる」情報です。現地からスマホで即時配信し、無駄足をなくします。
設定の手順
操作場所:LINE公式アカウント スマホアプリ > メッセージ配信(またはスマホのブラウザでエルメ管理画面 > メッセージ配信)
- LINE公式アカウントのスマホアプリを開く(エルメのチャット用アプリは配信機能が限られるため、速報はLINE公式アプリが確実)
- メッセージ配信で売り切れ速報の文面を入力する
- 「今すぐ配信」で送信する
コピペ用テンプレ(売り切れ速報)
4. 配信頻度と無料枠(月200通)を設計する
毎朝配信は「毎日×友だち全員」なので、通数を最も消費します。LINE公式アカウントの無料枠は月200通。友だちが増えると、すぐに超えます。
毎日配信したときの月間通数(毎朝1回=月30回で試算)
| 友だち数 | 月間通数(毎朝1回) | 無料枠(200通) |
|---|---|---|
| 6人 | 180通 | ぎりぎり収まる |
| 7人 | 210通 | 超過 ⚠ |
| 10人 | 300通 | 超過 ⚠ |
| 30人 | 900通 | 超過 ⚠ |
| 100人 | 3,000通 | 超過 ⚠ |
友だち7人で毎日配信すると無料枠を超えます。つまり「全員に毎日」は現実的でありません。次の3つで設計します。
無料枠を守る3つの設計
- 絞り込み配信:「週末来店」「トマト好き」などのタグで、その情報が要る人だけに送る
- 頻度を下げる:毎日ではなく「入荷が多い日だけ」「週末だけ」に配信する
- 有料プランへ移行:友だちが増え、毎日配信の効果が確かなら有料プランを検討する
5. 発展:スプレッドシート+GASで半自動化する
「毎日その日の分をセットするのも手間」という場合は、スプレッドシートに書いた内容を、push専用GASが毎朝送る形にできます。GASは受信せず(Webhookはエルメが占有)、時刻トリガーで送るだけです。
スプレッドシートのスキーマ(先に確定)
| 列 | 列名 | 型 | 備考 |
|---|---|---|---|
| A | 配信日 | 日付 | セルの表示形式を「日付」にして入力(文字列だと一致しない) |
| B | 本文 | 文字列 | 販売情報の全文 |
| C | 配信済 | 列挙 | 未/済(GASが更新) |
GAS(push専用・時刻トリガー)
毎朝8時台に起動し、当日分の行(A列=今日)を探して本文をpushし、C列を「済」にします。受信は一切しません。GASの時刻トリガーは「8:00〜9:00」のように1時間幅で指定する仕様のため、分単位の正確な送信時刻は保証されません。きっちり8:00に届けたい場合は章2のエルメ予約配信を使います。
// push専用GAS:受信しない。毎朝8時の時刻トリガーで起動する想定。
// スプレッドシートのスキーマ(A:配信日 B:本文 C:配信済)と一致させること。
const LINE_TOKEN = 'ここにチャネルアクセストークン';
const SHEET_ID = 'ここにスプレッドシートID';
const SHEET_NAME = '配信';
function sendTodaysInfo() {
const sh = SpreadsheetApp.openById(SHEET_ID).getSheetByName(SHEET_NAME);
const rows = sh.getDataRange().getValues();
const today = Utilities.formatDate(new Date(), 'Asia/Tokyo', 'yyyy-MM-dd');
for (let i = 1; i < rows.length; i++) {
if (!rows[i][0]) continue; // A列が空の行は飛ばす
const day = Utilities.formatDate(new Date(rows[i][0]), 'Asia/Tokyo', 'yyyy-MM-dd'); // A列:配信日
const body = rows[i][1]; // B列:本文
const done = rows[i][2]; // C列:配信済
if (day === today && done !== '済') {
broadcast(body);
sh.getRange(i + 1, 3).setValue('済'); // C列を「済」に
break;
}
}
}
function broadcast(text) {
// 全員配信(broadcast)。※通数は友だち数分を消費するため無料枠に注意。
UrlFetchApp.fetch('https://api.line.me/v2/bot/message/broadcast', {
method: 'post',
headers: { 'Authorization': 'Bearer ' + LINE_TOKEN, 'Content-Type': 'application/json' },
payload: JSON.stringify({ messages: [{ type: 'text', text: text }] })
});
}
費用と無料枠の注意
| 項目 | 費用 | 備考 |
|---|---|---|
| LINE公式アカウント | 無料プランは月200通まで | 毎日配信は超えやすい(章4参照) |
| エルメ(L Message) | フリープランあり(月1,000通まで) | 予約配信は無料枠でも利用可。通数はLINE公式の200通に先に当たる |
| Googleスプレッドシート+GAS | 無料 | 章5の半自動化に使用 |
毎朝配信は通数を最も消費します。友だちが7人以上になったら、絞り込み配信への切り替えか有料プランを前提に設計します。
運用開始チェックリスト
| 確認項目 | OK |
|---|---|
| 毎朝のテンプレートを1つ作ったか | □ |
| 予約配信を8:00に設定し、自分宛にテスト送信したか | □ |
| 売り場カメラのURLがボタンに正しく入っているか | □ |
| 売り切れ速報の文面を準備したか | □ |
| 友だち数×配信回数が無料枠(月200通)の範囲か試算したか | □ |
| (GAS利用時)スキーマ・権限承認・時刻トリガーを設定したか | □ |
よくある質問
- Q. 予約配信は毎日勝手に繰り返してくれますか?
- A. 予約配信は1回分の送信予約です。毎日の完全自動化は章5のGASで実現します。手軽さ優先なら、前夜に翌朝分をセットする運用が現実的です。
- Q. 友だちが少ないうちから毎日配信していいですか?
- A. 友だち6人までなら毎日でも無料枠(月200通)に収まります。7人以上になったら、毎日配信は絞り込み配信か週数回に切り替えます。
- Q. 写真は毎日必要ですか?
- A. 必須ではありませんが、写真ありのほうが反応は上がります。撮る余裕がない日はテキストだけでも構いません。
- Q. 配信が多いとブロックされませんか?
- A. 役立つ情報(入荷・売り切れ)に絞れば嫌われにくいです。宣伝色が強い配信を重ねるとブロックの原因になります。
応用アレンジ(同じ骨格でできる発展例)
- タグ別の配信出し分け:「トマト好き」タグの人へは、トマトが並んだ朝だけ優先配信する。
- 天気連動の一言:雨の日は「本日は数量限定」など、GASで天気APIと連携した一文を添える。
- 在庫アラート:在庫用シートを別に持ち、残数が閾値を下回ったら管理者へpushする。
まとめ
「テンプレを作る → 予約配信で毎朝8時 → 売り切れは即時速報 → 無料枠は絞り込みで守る」で、農家の手間5分の自動配信ができました。まずやることは1つ、章1のテンプレートを作り、章2で明日の朝8時に1件予約することです。
▶ 関連記事:配信の届け先を増やすには「無人販売所の友だち追加を増やす集客導線の設計」、来店をリピートに変えるには「無人販売所にPayPay+スタンプカードを組む設計ガイド」をご覧ください。




